中国で近年話題となっている「寝そべり(躺平/Tang Ping)」とは、過酷な競争社会から距離を置き、必要以上に働かず、出世や過剰な成功を追い求めない生き方を指す言葉です。
直訳すると「横になる」「寝そべる」という意味ですが、中国の若者文化では、
・無理に競争しない
・高収入や高級住宅を追わない
・最低限の生活でよい
・精神的な安定を優先する
という価値観を表しています。
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なぜ中国で広がったのか
背景には、中国特有の激しい競争社会があります。
特に問題視されているのが「996」と呼ばれる労働慣行です。
これは、
午前9時〜午後9時まで
週6日働く
という長時間労働を意味します。
IT企業などを中心に広がり、多くの若者が疲弊しました。
さらに、
・住宅価格の高騰
・就職難
・教育費の負担
・結婚や子育てコストの増加
なども重なり、
「どれだけ頑張っても報われない」
と感じる若者が増えたと言われています。
「寝そべり」は若者の抗議でもある
寝そべりは単なる怠けではなく、社会への静かな抵抗とも言われています。
2021年頃から中国SNSで急速に拡散し、多くの若者が共感しました。
発端の一つとされるのは、中国のネット掲示板に投稿された、
「最低限だけ働き、欲望を減らして生きる」
という内容の書き込みです。
この考え方は、
「人生=競争」
という価値観への疑問として広がりました。
中国政府は否定的
一方、中国政府や国営メディアは「寝そべり」に警戒感を示しています。
中国では経済成長や勤勉さが重視されるため、
「努力を放棄する思想」
として批判される場面もありました。
実際に中国メディアでは、
「寝そべりは恥だ」
とする論調も報じられています。
SNS上では関連投稿の削除や規制が行われたとの報道もあります。
日本との共通点
日本でも、
・過労社会
・低賃金
・将来不安
・若者の結婚離れ
などが問題視されており、中国の「寝そべり」に共感する声が少なくありません。
海外では、
・Quiet Quitting(静かな退職)
・Anti-work(反労働)
といった動きとも比較されています。
「寝そべり」は今後どうなるのか
現在の中国では、「寝そべり」からさらに進んだ
「摆烂(バイラン)」
という言葉も登場しています。
これは、
「どうせ無理だから流れに任せる」
という、より諦めに近い感覚を表す言葉です。
中国経済の減速や若者失業率の問題もあり、「寝そべり」は単なる流行語ではなく、中国社会の価値観変化を示す現象として注目されています。

