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「親の介護、そろそろ考えなきゃ」でも、どうすればいいの?
親が高齢になり、身体の衰えや認知症の兆しが見え始める。
そんな時、多くの人がぶつかるのが…
「同居するべきか、施設に入ってもらうか?」
という、**人生でもっとも難しい“決断のタイミング”**です。
・介護は家族でやるべき?
・施設に入れるのは“見捨てる”ことなのか?
・自分の生活・仕事・家族はどうなる?
――この問いに、正解はありません。
だからこそ、**判断のための“軸”**が必要になります。
この記事では、親の介護を実際に経験した筆者の体験を交えながら、
「同居」か「施設」かで悩んだときに考えるべきこと、判断のヒント、後悔しない選び方をお伝えします。
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同居か施設か|それぞれのメリットとデメリットを整理
●「同居介護」のメリット
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毎日顔が見られて安心できる
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急な体調変化にすぐ対応できる
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親が住み慣れた環境で生活できる
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介護費用を抑えやすい(施設代不要)
●「同居介護」のデメリット
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介護者の負担(身体・メンタル・時間)が大きい
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プライベートや仕事との両立が難しくなる
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きょうだい間の不公平感が生まれることも
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親子関係が悪化することもある
●「施設介護」のメリット
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専門スタッフによる24時間体制のケア
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介護者の生活・仕事・家族を守れる
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医療ケアも含めて安心感がある
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一定の距離が保てることで良好な関係を保ちやすい
●「施設介護」のデメリット
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月額費用が高い(入居一時金+10万〜20万円/月が相場)
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親が環境変化に戸惑う・寂しさを感じやすい
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空き待ち・入所条件・医療対応の制約あり
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罪悪感を抱えるケースも多い
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判断のヒント①|「親の状態」×「自分の余力」
この2軸で考えるのが現実的です。
親の状態 | 自分の余力 | おすすめ判断 |
---|---|---|
介護度が軽い | 余裕あり | 同居で様子を見る(週数日でもOK) |
介護度が軽い | 余裕なし | 通所サービスやショートステイ活用 |
介護度が重い | 余裕あり | 在宅介護+訪問看護などを検討 |
介護度が重い | 余裕なし | 特養や有料老人ホームを検討 |
📌「余力」とは、時間・体力・経済力・精神的ゆとり、すべてを含みます。
判断のヒント②|「親の希望」はどうか?
親本人がどうしたいと思っているかも、大事な判断材料です。
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「子どもには迷惑をかけたくない」と言う親もいれば、
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「最期まで家で過ごしたい」と言う親もいます。
この場合、話し合いができるうちにきちんと話しておくことが何より重要。
ただし、どれだけ親が「家にいたい」と希望しても、現実的に無理なら施設も選択肢にするべきです。
「親の希望」だけにこだわると、介護者側が燃え尽きるケースも珍しくありません。
判断のヒント③|お金の問題も無視できない
施設入所にはまとまった費用がかかります。
施設タイプ | 初期費用 | 月額費用の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
特別養護老人ホーム | 〜数十万円 | 5〜15万円 | 介護度が高くないと入れない/入所待ち多い |
介護付き有料老人ホーム | 数十〜数百万円 | 15〜25万円 | 24時間体制/医療ケアに強い施設も |
サービス付き高齢者住宅 | 敷金程度 | 10〜20万円 | 自立度が高い人向け/医療対応弱め |
老人保健施設(老健) | 原則なし | 10〜15万円 | リハビリ目的/長期入所不可 |
📌「施設=高い」と思われがちですが、所得に応じた補助制度もあるので、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。
体験談:母の認知症介護で“同居→施設”を選んだAさんの話
Aさん(40代・会社員)は、70代後半の母の認知症が進行し始めたころ、同居を決意しました。
最初の半年は「なんとかなる」と思っていたものの、夜間徘徊やトイレ介助、幻覚による会話対応で、
心身ともに疲れ切ってしまったのです。
結果、母を施設に入所させる決断をしました。
最初は罪悪感に押しつぶされそうになりましたが、今では週に1回の面会で笑顔を見せてくれる母に会うたび、
「この距離感が私たちには必要だった」と実感しています。
「施設に入れるのは悪」ではない
多くの人が陥りがちな思い込み――
「施設に入れるのは冷たいこと」
「最後まで家で看なきゃいけない」
ですが、これは決して事実ではありません。
むしろ、**最適な介護体制を作ることこそが「親の尊厳を守ること」**だと筆者は考えます。
決断前に相談すべきところ
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地域包括支援センター(役所内 or 拠点あり)
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ケアマネジャー(介護保険申請後に担当)
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医師(認知症・リハビリ専門医など)
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家族会(介護経験者と交流できる場所)
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SNSやブログで経験者の声を読む
「1人で決めようとしない」ことが本当に大切です。
まとめ|親も、自分も、幸せでいられる選択を
「同居か施設か」で悩むとき、正解はありません。
でも、間違いのない考え方はあります。
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無理をしない
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未来を見越して準備する
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親の思いと、自分の生活を両立できる形を探る
この3つを軸に考えれば、どんな選択でも後悔しにくい道が見えてきます。
親の人生の終盤と、自分の人生の中盤を、どちらも大切にできるように。
今このタイミングで、一度しっかり向き合ってみてはいかがでしょうか。